本来の日本人の心と気概を取り戻そう

 ロシアのウクライナ侵略に想う   !!

 

 若い時に「タタールのくびき」という本を読んだことを想いだした。

 これは、1236~41年にわたり、モンゴル軍がロシアを侵略した時から、1480年にキプチャク・ハーン国軍が、それまで何度か占領・略奪を繰り返してきたモスクワの都に迫りながら、攻撃を断念して兵を引き揚げた時までの約250年間を、後世のロシア人が形容した言葉である。モンゴル軍が来襲した時、ロシアの源流となった中世国家「キエフ、ルーシ」が栄えており、キエフ、ウラジミール、チュルニーゴフなどの都市が在った。

 その後、ポーランド・リトアニア共和国が成立し、ロシアに大動乱(スムータ)の時代が訪れ、内紛と外国軍の干渉により、ロシアは、四分五裂の状態となり、ポーランド・リトアニア共和国は、スウェーデンとともに、ロシアに侵入し、1610年から2年間ロシアを支配した。1612年、ロシアの国民義勇軍がポーランドの侵略者から解放し、その後まもなく、ロマノフ王朝が成立した。 

 この歴史を俯瞰すると、ロシアを含むユーラシアの大地をめぐる攻防は、日本の戦国時代と同時期に400年に亘って繰り広げられた。その後のロマノフ王朝のロシア帝国の隆盛、ロシア革命、2度に亘る世界大戦を経て、その血塗られた相互の怨念は筆舌に尽くし難い計り知れないものであると言える。 

 ウクライナは世界でも最も豊穣な農業地帯で、豊かに肥えた黒土は「ヨーロッパの穀倉」と呼ばれた。ウクライナの一部は、大ロシアのように完全に征服されてしまうことを認めず、独立と抵抗と反逆の精神を持ちつづけ、比較的教育も行き届き、自我にも目覚め、独立を渇望し、昔から自分自身を守る用意を怠らず、数世紀にわたって自由に考え、自分自身を主人とし、全般的に他のロシアの民衆を性格づけている完全な奴隷状態(肉体のみならず精神までの)に決して服従することはなかった。 

 この度のロシアが勝手に兄弟国と言っているウクライナに仕掛けた戦争の背景には、長い歴史の中での相互の深い骨肉の相剋が存在する。プーチン大統領によるウクライナ侵略の暴挙は、上述の歴史を踏まえると、ロシアのルーツは我が方に在るというキエフ・コンプレックス、即ち、ロシア正教の聖地があるキエフを擁するウクライナが隆盛して行く姿、西側に向いて行く姿に我慢ならず、これを潰して、嘗てのロシア帝国の再興を目途に動いている。その思想の黒幕は大統領補佐官・政治学者・作家のウラジミール・メジンスキーと言われているが、ロシアの源流は紛れもなく中世国家「キエフ、ルーシ」であり、独立心の旺盛な気概の有る、国家の尊厳を守っている今のウクライナであることに変わりはない。 

 今時、帝国の再興を目論むのは如何かと思うが、中国も嘗ての明朝帝国の再興を標榜して、南シナ海を牛耳り、強権国家建設の道を突っ走っている。ロシア、中国のユーラシア帝国再興願望が、目論見とおりにならないことを強く希望するが、ロシアの方がよりによって兄弟国を侵略するという火をつけて、世界を敵に回してしまい、虎視眈々と台湾を狙っている中国は苦虫を潰していると想像する。しかしこの間にも中国が経済制裁を逃れる術を準備するチャンスを与えてしまうリスクもある。 

 この度のウクライナ戦争は、我が日本国も他人事ではない。1206年にモンゴル帝国が建国し、1279年の最盛期には世界の25%を統治した歴史がある。1268~1281年の13年間に亘って、モンゴル帝国の元寇襲来があり、鎌倉幕府の執権であった北条時宗を中心とした戦闘力のある日本の武士団が、防塁を築き、九州各地で激戦の末、殲滅撃退して難を逃れたが、この時の国難に毅然と立ち向かい、日本国を守り抜いた勇姿を想うと、果たして現代に出来るだろうかの疑念がある。

 ウクライナ国民が毅然と立ち上がって、ロシアに立ち向かっている姿は、750年前の日本の防人武士団の勇士と重ね合わせて観て、感慨深いものがある。もし元寇の日本侵略が成功していたら、今の日本は無かったものと思われる。 

 古今東西、人間は争いの歴史を積み重ねてきたが、人間はそれを未だに止められない愚か者である。この度のロシアのウクライナ侵略戦争の暴挙を客観視して分析すると、昨年8月に、本会が企画、製作し風詠社から出版された、鴨志田恒世先生の新著「二十一世紀の倫理観」が明確に応えている。この著作の中に盛られている「平和を愛し、正邪善悪を超えて争いの心を持たぬ人になろう」の章で、次に示す極めて示唆に富んだ哲理が盛られている。

「平和を愛し、正邪善悪を超えて争いの心を持たぬ人になろう」

    ​

 所謂歴史上の英雄が天涯孤独の境涯から奮起して、一世を風靡し、正義と平和の名の下に、社会に重大な波乱を呼び起こしている例は、決して少なくありません。これは優秀な才能を与えられた英才達が、その幼少において、幼い生命を虐げられ、自己破壊的な衝動を造成した為に、復讐を実現することによって、自己破壊的衝動から逃れたい無意識の要請によるものであります。例えば、ナポレオンの如く、マルクスの如く、スターリンの如く、ヒットラーの如く、その幼少における境涯の悲惨さを考え合わせるならば、思い半ばに過ぎるものがありましょう。

 人間の心の核には生の本能と死の本能があります。これを建設性と破壊性と呼んでも差し支えはありません。これが適当に外部に表現されないと自己破壊的になります。この自己破壊的衝動を防ぐ為には、幼少の時より、愛の本能を健康に育むことが最も大切であります。これをいたずらに抑圧することは、決して生命の原理を尊ぶ所以ではありません。心の核に歪みがあると、平常は平和で幸福そうに見えても、外部からの非難や中傷あるいは困難に遭遇すると、これらに呼応して、心の深奥の憎しみや、悲しみや、嫉妬心などの闘争心が頭をもたげて、忽ち心の平和は乱されます。心の核が創造的愛の本能に充たされた時、人間は初めて真の心の平和が蘇り、波長相応の理によって、自らの周囲に平和で、幸福な環境が顕現するのであります。

 我々が、生命の原理の高次元性を無視して、単なる平面的、合理的に片付けようとすれば、自分自身の心の奥底に、自己破壊的衝動を造り上げて了っていることを意識せずに、ひたすらに我々は健康で、努力し、向上し、進歩し、成功し、幸福になろうとします。然し反面において、無意識的には、我々は病気になり、退化し、失敗し不幸になることを求める心の動きが大きく作用して了うことに気付きません。このことは生命自身の存立にとって極めて重大な恐怖となります。この心の奥底における恐怖は、潜在意識的には破壊的闘争の形をとって参ります。こうして心の核に自己破壊的衝動が存在しますと、意識的にどんなに、平和で、幸福であろうと努力しても、結果的にはその逆な、不安で、不幸な状態がその人の環境を形成して了います。即ち、心の投影ということであります。世の中の革命家や正義漢、平和運動などに携わる人々の中には、実は自分自身の内部の破壊的闘争的エネルギーの存在に気付かぬ者が多くおります。外面的には如何にも正義と平和を愛する、不合理な環境との戦いの如く見えてもその実、自分自身の内部の生命を破壊するエネルギーとの戦いであり、外部の現象は、己れの内部の姿を客観化したものに他なりません。釈尊が「三界は唯心の所現」と言っているのも、この辺の消息を教えたものでありましょう。 

 筑波大学の中村教授は、「ロシアの大統領プーチンは、①必ず復讐を遂げる男、②ソ連崩壊に傷つき、③強い復讐心を持つ、④30年に及ぶこれまでの復讐心を今遂げようとしている男」と評している。プーチンの仕掛けたウクライナ侵略戦争は、将に上述の「復讐を実現することによって、自己破壊的衝動から逃れたい無意識の要請によるもの」と言える。

 我国も、第二次世界大戦の前に、朝鮮半島白村江の戦い、モンゴル帝国の元寇襲来、日清戦争、日露戦争、日中戦争等と数多くの戦火を交えた歴史がある。現在の日本が平和路線を貫いていても、これらの国々には、復讐心が潜在していることを常に忘れてはならないと考える。そして、極めて残念
ですが、世界は力による平和の均衡である国際関係の非情で厳しい現実を直視し、平和を実現するためには尊い犠牲を払わなければならないことを覚悟することです。今日の日本の平和もその犠牲の上にあることを、この戦争が遠い国で起こっている出来事であると決して思ってはならないのです。

 そこで今般のウクライナ危機に鑑みて、我国に迫ってきている国難に対処する喫緊の課題は、先の大戦から77年に亘るこれまでの無責任なぶら下がりの国防と平和ボケ、引き籠り、自虐史観と、今般の危機が我が国周辺で起こらないという安易な想定から一日も早く脱却し、必ず有事が来るとの最悪のことを念頭に、矛盾だらけの憲法9条を改正して、自分の国は自分で守る強固な意志と気概を持ち、安全保障体制の総点検をし、それにふさわしい防衛力強化、防衛装備強化、練度を向上して、本来の日本人の心を取り戻すために歴史教育を再興して、私達一人一人が日本の歴史と伝統に沿った国家の尊厳を建て直そうとする意思を涵養しなければならないと強く想うのである。

   2022年3月21日                    NPO法人わたつみ友の会
                              理事長 伊東 將

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本日、鴨志田先生の御本が届きました。ありがとうございます。私は、「勇気・元気の出る言葉」を検索して、鴨志田先生に出会いました。早速本を読ませて頂いております。先生のお考えは、私の謎を解いてくださいました。わたつみ友の会さんには丁寧に対応していただき、安心してサービスを利用できました。

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このたびは、たいへんお世話になりました。ありがとうございました!知人にも、ぜひわたつみ友の会さんのサービスをお勧めしたいです。

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